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回復の目安は、活動性・意欲、症状は客観的に観察 No.[1132]
投稿者:芝大門クリニック・渡辺譲二 投稿時間:2018/06/05 [火曜日] 01:03:20
症状がいくつか新たに出できたりしてることは、何らかの「変化」(多
分良い方向)ですが、それだけでは、改善の兆しとは言い切れません。
様々なことができるようになったことは、むしろそれが有力な改善の兆
しです。より前向きに進めたら良いかとおもいます。
以下は、時々患者さんに説明することです。参考にしてください。

頸肩腕症候群、腰痛、線維筋痛症など、慢性疼痛疾患は必ず改善・治癒
を目指せますが、いくつかの押さえるべきポイントがあります。

【症状の変遷】 どん底とも言うべき最悪の時期は、むしろ痛みがわか
らない(部位を特定もできない)、不安・絶望感の方が大きい状態があ
ります。治療・療養が進むと、部位が限定されたり、それが移動したり
、変化したり、あるとき楽になったり、すぐに強い痛みに襲われたりと
の「波」があります。
やがて痛み・違和感・不快感の広がりや、程度が改善していきますが、
かなり長期にわたって、痛みはどこかに残ります。
とことん、痛みや不具合・不快感がどこにもない状態を目指せますが、
生活や仕事・様々な活動を再開するにあたっては、現実的な目標(落と
しどころ)も設定するべきです。いつまでも頻繁に通院・治療するのは
無理だったりするからです。「日常的な耐えがたい痛みはなくす、年に
2,3回のどこかの部位(別な場所に変わっても)の痛みが出ても、数日
(10日、2週間を超えない)程度で消えてしまう、何とか生活や仕事はや
っていける」というあたりです。大半は、このレベルには確実に向かっ
ていけます。

【痛み】 身体の痛みは、他の感覚と大きく異なり、いつもマックスに
感じ、つらさも過去のものと冷静に比較できないものです。針先ほどの
痛みでも、かつての大きなかたまり状の強い痛みと同じように辛く感じ
たりします。痛み、症状ばかりに注目すると、改善の傾向が見えず、絶
望的になってしまいがちです。ただし、どのような症状がどこにどれく
らいの時間起きたかなどは、客観的に観察し、記憶・記録しておいたほ
うが治療には役立ちます。

【目安】 改善の状況については、意識(感じとり、思い)よりも、身
体(行動・活動性・意欲)の方がより、正直に反応することが多いもの
です。生活空間にそれまで見えてなかったゴミ・汚れが急に気になって
、つい長時間掃除・片付けをしてしまった。以前は、やるべきことリス
トにずっと掲げていた懸案を、気がついたらさくさく処理してしまった
。ひとに会う、買物・見物・観光にでかける、芸術・運動などをしたく
なった、考えるより先にやってしまった。このような状態は、気分の変
化とか、気の持ちようとかではなく、明かに身体症状の改善が土台にあ
ります。自分を観察すると、波はあるけど、そのような良い徴候が着実
に増えていることもわかります。ただ、同時期に症状に目をやると、相
変わらず、どこかに強い痛みがあったりしますが、痛みってそれだけで
は状態の指標になりにくいけど貴重なデータだから記録はしておくとい
う冷静な対応をしましょう。
何ができるようになった、何かをやってしまえた、などの個別の内容や
レベルは、個人によって様々なので、記録しておくと自分にとっての目
安になります。ゴミを溜めなくなった、本棚を整理できた、PCのファイ
ルを整理・更新できた、冷蔵庫を片付けた、などなど。

【治療と療養・安静】
安静・休息といっても、心理的ストレス、季節の変動、どうしてもやら
なきゃならないことなど、様々な障害物に溢れていて、休んでいるだけ
では、いつになったら治るのかが見えない状態になりがちです。
慢性疼痛の症状・状態には、かなり頑固なものがあります。自然にそな
わった回復力は、なだらかな坂をおりていく力(重力加速度)にたとえ
ると、途中にもう一山あったら、そこを越えるのは、なかなか困難です
。治療は、電動アシストのように、個別のひっかかりを発見し少し強引
にでも引っ張ることができます。治療の進展は、はっきりした指標(検
査の数値のような)がないのですが、積極的に、丹念に詳細に治療する
ことの意義は、きわめて大きいと感じております。



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