同じく労災法解釈総覧から。昭和28=1953年10月9日、基収4225号通達
です。
「自衛隊員が加害者となり、電工に対し業務上過失により電撃症を与え
た。労働局から本省への質問。労災保険が、保険加入者(事業主)の全額
負担にかかる保険料収入のみにより運営されているのに、第三者が国家
機関なら請求できないか。
答え 被災者が、国に対して損害賠償請求権を有する場合においても
、政府は保険給付をした価額の限度で、被災者の有する請求権を承継取
得する。ただし、求償権の行使については、裁判上これを争う事は出来
ない。
したがって、本件については、加害者である公務員が所属機関と折衝
のうえ、妥当な解決を計ることとされたい。
今後、第三者が国である場合の災害は、できる限り保険給付を行う前
に、被災者をして国に損害賠償請求するよう指導し、その解決をまって
処理するよう。
なお、加害者である公務員に対して、使用者たる国とは別個に求償権
を行使しうる。」というものです。
くねくねと曲がりくねった感じですが、被災者優先が大事であるとと
もに、行政にも制約があり、法律や交渉を活用する必要があります。
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