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国は上告すべきでない No.[538]
投稿者:斎藤洋太郎 投稿時間:2008/06/05 [木曜日] 21:07:33
逆転勝訴判決を抜粋します。
 6/4判決言い渡し 控訴人・弁護士 湯川芳朗  被控訴人 国・上野
労働基準監督署長(処分庁)
第3 当裁判所の判断
 1(1)頸髄損傷、神経因性膀胱、頸椎捻挫、RSDについて
  ア 頸髄損傷 頸椎損傷は画像診断により把握することができるが
、頸髄自体の損傷はこのような画像診断でとらえることは困難である。
頸髄損傷は、外傷や骨傷がないときは、見過ごされることがあるとの指
摘もある。
  イ 神経因性膀胱 頸髄損傷でも歩くことができる人の泌尿器の障
害は、見過ごされることがあるとの指摘もある。
 (2)事実経過 控訴人(昭和9年生)は、昭和56年1月29日、勤務先である
本件会社の中2階の仕事場で貸衣装の寸法直し等の裁縫作業をしていた。
天井から梁が突き出しており、床から梁までは1m35cm〜1m45cmしかない
ため、歩くときは身体をかがめなければならなかった。控訴人は、出社
してきた従業員にお茶を入れるため1階に降りようとした際、天井の梁に
頭頂部を強打して、意識を失って仰向けに倒れた(本件事故)。・・・平
成2年控訴人の後遺障害は障害等級12級に該当すると認定されて支給する
旨の前件処分を受けた。控訴人は、障害認定が不服であったので、平成
6年、東京地裁に前件処分の取り消しを求める訴えを提起した。
 控訴人は、平成7年、国立病院の石橋徹医師(現ひまわり診療所金曜予
約外来−−斎藤註)の診察を受け、石橋医師は、控訴人に運動障害、感覚
障害及び膀胱直腸障害が認められたので、泌尿器科に検査を依頼したと
ころ、神経因性膀胱との診断であった。そこで、不完全頸髄損傷と診断
した。
 控訴人は、前件訴訟において、本件事故により頸髄損傷などを受傷し
たと主張したが、東京地裁は、平成10年、相当因果関係を認めることは
できないと判断して、控訴人の請求を棄却した。・・・最高裁は平成12
年上告棄却等の決定をした。
 控訴人は、平成13年、処分庁に対し、本件事故により頸髄損傷などを
受傷したとして、平成11年3月から13年2月までの休業補償給付の申請を
したが、処分庁は、平成14年支給しない旨の本件処分をした。その理由
は、本件事故と傷病との相当因果関係が認められないというものであっ
た。

 (3)本件事故による傷病について 
  ア 控訴人は、本件事故直後に尿失禁し、昭和56年6月には離婚する
に至った。控訴人は、平成4年までは、尿失禁及び便失禁があることを一
切話していない。これは、事故による痛みが切実で、問診が痛みの訴え
に集中したし、控訴人自身、排尿排便障害が事故と関係があるとは思っ
ていなかったからであり、頸部に骨傷が認められなかったこともあって
、いずれの医師からも尿失禁の有無を尋ねられることがなかったためで
ある。・・・当初、控訴人が尿失禁があることを医師に話さなかったと
の一事をもって本件事故直後には尿失禁はなかったと推断することはで
きない。カルテに記載がないことも、必ずしも尿失禁がなかったことを
示すものではなく、また、控訴人に膀胱直腸障害はない旨の記載は、膀
胱機能検査の結果によるものではない。
  イ 控訴人は、当初、医師に尿失禁を訴えなかったため、神経因性
膀胱と診断されたことが遅れたものというべきである。
  ウ 頸椎捻挫は膀胱直腸障害を伴わないから、本件事故による傷病
は頸椎捻挫にとどまるものではないというべきである。そして、事故に
起因して神経因性膀胱を発症したが、画像診断で骨傷の異常が認められ
ず、事故により完全に麻痺したわけではなく、歩行することもできたも
のの、手指の運動障害が続いているのであるから、控訴人は事故により
不完全損傷の一態様である中心性頸髄損傷を発症したものと認めるのが
相当である。
 (4)そうすると、本件処分は、事故と控訴人の神経因性膀胱との相当因
果関係を否定した点において判断を誤ったものであり、違法である。
 東京高裁22民事部 裁判長 石川善則 ほか

 患者らの血のにじむような長期の努力が実を結びました。中枢不全損
傷を正面から認めた、画期的な判決といえます。国は、上告すべきでは
ありません。実は、転倒事故や交通事故に、不全損傷の患者が沢山いる
のです。



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