(3)本件事故による控訴人(被災者)の傷病について
ア 本件事故による頸部、頭部等の痛みが切実でその治療のために次
々と多数の病院を受診したから、問診がその痛みの訴えに集中したであ
ろうし、控訴人自身、排尿排便障害が本件事故と関係があるかもしれな
いとは思っていなかった・・・
・・・当初、控訴人が尿失禁等があることを医師に話さなかったとの一
事をもって本件事故直後には尿失禁がなかったと推断することはできな
い。・・・上記入院病歴記録により控訴人に当時尿失禁等がなかったと
認めるには足りないというべきである。
イ 控訴人が本件事故直後から尿失禁及び便失禁をするようになった
ことと、脳疾患等他に神経因性膀胱の原因となる傷病が認められていな
いことを考えると、控訴人は、本件事故に起因して神経因性膀胱を発症
したと認めるのが相当である。上記アによれば、控訴人は、当初、医師
に尿失禁等を訴えなかったため、神経因性膀胱と診断されることが遅れ
たものというべきである。(つづく)
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